ドローンと野生動物の関係について

ドローン紅葉

弊社でドローン空撮を行うのは山間部案件が多いです。日本の豊かな自然の中でドローンを飛ばし撮影を行うと素晴らしい景色に出会うことができるのですが、一方で自然に対する負荷を感じることも少なからずあります。今回はこれまでに感じたことを踏まえながら、ドローンと自然界との関係について記述を残したいと思います。

ドローンで鳥が騒ぐ

山間部でドローンを飛ばしていると鳥たちが騒ぎ始めます。人間から見る限り鳥類は平和的な生き物ですが、実際には縄張り意識がとても強く、領空侵犯をしたものに対しては執拗に攻撃を繰り返します。

そんな習性もあってか、ドローンを飛ばしているとかなりの確率で猛禽類が出撃してきます。今のところ直接攻撃をされたことはないのですが、迎撃体制で至近距離まで接近&離脱を繰り返される事もしばしば。飛ばしている方からすれば野鳥に傷をつけたくないのでヒヤヒヤしてしかたありません。

イヌワシとクマタカ

広島県北部の西中国山地エリアでは「広島県絶滅危惧種Ⅱ類」に該当するクマタカも生息しています。広島県絶滅危惧種Ⅱ類というのは環境省とは別に県が独自に定めるものですが、要は数が減っていて危ういということ。広島はかつてクマタカの世界的な研究成果として評価された「クマタカの生態と保護について」の舞台となった土地柄で、西中国山地の自然の豊かさはかけがえのないものだと考えています。

また、全国に数が激減したままのイヌワシも生息する貴重なエリアであり、ドローンによる衝突や圧迫は何としても避けたいと思っています。尚、国内に残っているイヌワシは推定で500羽ほどとされ、ペアは150〜200ペアなのだそうです。西中国山地の個体群は分断されている上、近年は繁殖記録がなく、風前の灯火と言えそうです。

日本イヌワシ研究会のオフィシャルサイトで詳しく紹介されています。

余談ながら、広島県北部の三次市では明治時代に子供がイヌワシにさらわれるという事件が起こり、そのまま行方不明になったという記録があります(明治28年の読売新聞)。

スズメですら騒ぐ

ドローンに反応するのは猛禽類だけではありません。山間部の集落近くで飛行した場合、カラスなどは一番と言っていいくらい早い段階で騒ぎ始めるのですが、意外なのがスズメなどの小鳥類。怯えているのか警戒しているのか、時間帯によっては山肌全体がザワつく感があって申し訳なさが湧き上がります。

ツキノワグマにも影響?

ドローンが圧力を与えてしまうのは鳥類だけではありません。海外の研究で、ドローンのプロペラ音によってクマの心拍数が4倍になるという結果が得られています。これは人に例えると「ジェットコースターに乗った時以上」らしく、相当なストレスを与えているのは間違いありません。

 極端な例では、ドローンが接近すると、1分間の心拍数が39から162へと400%以上も増加したクマがいたと研究を主導した米ミネソタ大学のマーク・ディトマー氏は指摘する。2回宙返りするジェットコースターに人間が乗ったときよりも激しい上昇率だ。
引用:ナショナルジオグラフィック

これはあくまでアメリカクロクマの例ですが、その他の野生動物にも当てはまりそうです。事実、操縦している人間自体もプロペラ音に(実は)ストレスを感じていますし、その他の通行人たちの中にはプロペラ音に不吉な響きを感じる人もいるように思います。

引用:ドローンはストレス源? 動物保護に課題(ナショナルジオグラフィック)

ここでも余談ながら、日中国山地ではツキノワグマが激減した過去があり、90年代に3県(広島・島根・山口)が合同で保護を行うという、縦割り行政の中では異例の取り組みを開始しました。結果ツキノワグマは順調に個体数を回復し、このエリアの個体群は野生動物保護の国内における成功事例の一つとなっています。

参考記事:西中国地域のツキノワグマ(WWF)

その意味でもドローン飛行の影響が気になるのが正直なところでもあります。アマゾンをはじめ、物流業界はドローンの活用に熱視線を送っていますが、現時点では自然界への影響を考慮している形跡が少なくとも外部からは全く見えない点が心配で仕方ありません。

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